クライマックスシリーズで印象に残った名シーンを各チーム毎に動画を交えて振り返ります。
リーグ優勝のファイターズが3連勝で3年ぶり6度目の日本シリーズ進出を決めた後、栗山英樹監督は「あそこで糸井(嘉男)がホームランを打たなかったら3連敗もありえた」と、初戦の7回の一場面を振り返った。
ホークス先発・陽耀勲の前にわずか1安打で迎えた、2点ビハインドでの7回の攻撃。1死2塁の場面で、ここまで2三振の糸井が打席に入る。過去2打席は150キロを超えるストレートやキレのいいスライダーをうまく捉えることができなかったが、この打席は違った。高めに甘く入ったスライダーを振り抜くと、真芯でとらえた打球は一直線でライトスタンド中段へ飛び込む、起死回生の同点2ランとなった。この一発は完全に球場のムードと試合の流れを変え、直後の二岡智宏の勝ち越しタイムリーをも呼び込んだ。
さらに糸井は、続く2戦目でも初回に3ベースで先制のきっかけを作ると、7回にはダメ押し2ラン。3戦目も自身の四球出塁が、初回での3点先取という有利な状況を生み出した。乗りに乗った“お祭り男”。間違いなく、日本シリーズ進出の最大の功労者である。
ファイターズ名シーンプレーバック
「初戦を制したチームが次ステージに進む」というジンクスがあるクライマックスシリーズ。3位・ホークスは2位・ライオンズにファーストステージ初戦で勝利すると、2勝1敗で次ステージへ駒を進め、そのジンクスを見事に守った。初戦に勝利をもたらし、ホークスに流れを引き寄せたのは、9回無死満塁のピンチに登板してライオンズを1得点のみに抑えたセットアッパー・森福允彦だろう。
2点を追い掛けるライオンズは9回、無死満塁とこの試合最大のチャンスを作り、さらに打席に立ったのが得点圏打率.359の勝負強いカーターとあって、西武ドームはこの日一番の盛り上がりを見せる。
しかし、昨年の日本シリーズに象徴されるような数々の修羅場をくぐり抜けてきた森福は冷静だった。初球のスライダーであっさりとショートゴロ。その間に3塁走者の生還を許したものの、続く上本達之をスライダー攻めでショートフライに打ち取る。そして最後は、右の代打・高山久を低めのシュートでセンターフライに抑え、見事に試合を締めた。
ホークス名シーンプレーバック
最大11ゲーム差、借金9からの歴史的快進撃で首位争いを演じた2位・ライオンズ。1勝2敗とファーストステージで姿を消したが、第2戦では快進撃の要因となった強力打線の威力を見せつけた。
先制点の欲しい3回、制球に苦しんでいたホークス先発・武田翔太に襲いかかる。先頭打者・炭谷銀仁朗の四球をきっかけに1死1,3塁のチャンスを作ると、秋山翔吾がショートへタイムリー内野安打を放って1点を先制。さらに、前日に併殺打でチャンスを潰していた中島裕之も、141キロの外角へのストレートを逆らわないバッティングで、ライトへタイムリー2ベースを放つ。その後もオーティズ、炭谷にタイムリーが飛び出し、この1イニングで6長短打3四球、打者11人の猛攻で一挙7得点を挙げた。
今季、急成長を見せてレギュラーに定着した秋山、主軸として勝負強い打撃を見せた中島ら、2012年のライオンズを象徴する打者の活躍が印象に残った。
記事・コンテンツメニュー