4月5日以降一度も借金を背負うことなく、またシーズンで一度も3位から落ちることがなかったファイターズ。栗山監督が抜擢した選手たちが相次いで期待に応え、新たなチームに生まれ変わった。
最優秀防御率を獲得した吉川光夫、ゲームメイクに長ける武田勝やウルフ、8月から先発ローテに定着した中村勝ら先発陣の頭数はそろう。セットアッパーもリーグ新記録の50ホールドポイントを作った増井浩俊、5年連続50試合登板の左腕の宮西尚生、3度目の最多セーブを獲得した守護神の武田久と救援陣の安定感はリーグ屈指だ。
チーム守備率はリーグトップの9割8分7厘、失策数も最少の71。特に陽岱鋼、糸井嘉男、中田翔と鉄壁の外野守備は投手陣を守り立てた。中でも中田の強肩を生かした19補殺は見事。
打線ではチーム打率.256と持ち前の繋ぐバッティングは健在。さらに、不振でも4番に起用され続けた中田翔が20本塁打を放つなど昨季リーグ3位だった86本塁打を上回るチーム本塁打数を記録するなど破壊力もアップした。
キャプテンの田中賢介が左ひじのケガでシーズン終盤に離脱したものの、シュアな打撃が持ち味の西川遥輝、チーム一の元気者・杉谷拳士ら若手が勝負を決める一打を放つなどチームの勝利に貢献。投手陣でも後半戦に先発ローテに定着した大型右腕・中村勝が結果を残した。
9月からライオンズとの激しい首位争いを勝ち抜いて3年ぶり6回目のリーグ優勝を決めた。9月の勝率は6割9分6厘と勢いは十分だ。
稲葉篤紀、金子誠ら経験豊富なベテランがしっかりと手綱を握り、吉川光夫、中田翔ら若手の伸び伸びとプレーする姿が光った。派手さはないものの5部門すべてに高水準を維持する堅実な野球を披露したといえる。3年ぶりの日本シリーズに向けて視界良好と言えるだろう。
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