残り10試合を切っても、3位までが3.5ゲーム差という前代未聞の戦国時代を勝ち抜いた北海道日本ハムファイターズ。本コラムでは、10月2日パ・リーグ制覇に至るまでの栗山・ファイターズの軌跡を振り返ります。
2012年の戦国パ・リーグを制したのはファイターズだった。10月2日、優勝マジック1としていたファイターズが、2位・ライオンズの敗戦により、3年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。
長年チームを支えたダルビッシュ有がメジャーリーグに移籍し、投手の柱の確立が迫られた栗山英樹・新監督。3月30日、ライオンズとの開幕戦を託したのはプロ2年目の斎藤佑樹だった。「今季は背負っています」と自身にプレッシャーをかけた斎藤佑は1失点で完投勝利を飾り、指揮官の期待に応えてみせた。
借金1で迎えた4月5日のバファローズ戦では若き4番・中田翔に今季初安打となる本塁打が飛び出すなど3対1で競り勝って連敗を止め、ここからチームは上昇気流を描く。4月20日のバファローズ戦では斎藤佑がプロ初完封を飾り、今季初の単独首位に立った。
また、4月28日のイーグルス戦でチームの精神的支柱の稲葉篤紀が史上39人目の2000本安打を達成して、さらにナインの士気を高める。4月29日のイーグルス戦では武田勝が完封勝利。武田勝は3月・4月を4勝無敗・防御率1.21の好成績で終え、プロ入り初の月間MVPを獲得した。
その後、マリーンズとめまぐるしい首位交代劇を演じつつ、5月11日にマリーンズに首位を譲ったが、7月後半まで2位をがっちりキープ。その間、5年連続勝率5割以上と相性のいい交流戦でも、優勝こそジャイアンツに譲ったが、14勝8敗2分で2位に食い込んだ。
そして、7月に入り、ライバル・マリーンズが7勝12敗2分と失速する中、7月31日・マリーンズとの直接対決を5対3と制したファイターズは最大5ゲーム差をひっくり返し、82日ぶりの首位奪回を果たした。
8月には、一時は最下位に沈むなど首位と11ゲーム差を離されていたライオンズと首位争いを繰り広げる。その中で8月29日のライオンズ戦では4連敗を喫した上に、キャプテン・田中賢介が左腕骨折で今季、シーズン終了までの離脱が決まった。
暗雲漂うものの、8月30日のライオンズ戦に田中の代役として「3番・セカンド」に入ったプロ2年目の西川遥輝の貴重なタイムリーなどで勝利すると、8月31日から9月2日のホークス3連戦に2勝1分と勝ち越して、優勝戦線に踏み止まった。
その後、9月11日のマリーンズ戦では中田の20号アーチで先制するなど3対2と競り勝ち首位へ。1日で首位を明け渡したが、9月15日のホークス戦ではウルフが粘投を見せて4対2と勝利し、貯金を12まで増やして再び首位に立った。
その後は9月28日から2ゲーム差の2位・ライオンズとの首位攻防戦2連戦で連勝。特に初戦では、エース格の吉川光夫が2安打完封、打っては4番・中田が2本塁打5打点と大暴れ。投打の柱の活躍でチームに待望の優勝マジック4が点灯した。吉川は9月7日のバファローズ戦で自己最多の13奪三振・1失点完投勝利を記録するなど、8月以降に5完投を記録し、疲れのあった救援陣の負担を軽くした。
記事・コンテンツメニュー