• 球団OBが語るクライマックスシリーズ ~ライオンズ編 大塚光二さん~ 2012.10.09 UPDATE

    クライマックスシリーズ出場各球団のOB、ファイターズ・岩本勉さん、ライオンズ・大塚光二さん、ホークス・本間満さんが語る!!

    大塚 光二さんプロフィール

    大塚 光二さん

    1967年8月26日生まれ。兵庫県出身。
    89年ドラフト3位でライオンズに入団。俊足巧打を武器に、貴重なバイプレイヤーとしてライオンズ黄金時代の一役を担った。中でも日本シリーズに滅法強く、1998年には6打席連続安打を放ち、通算打率.397(58打数23安打)は50打席以上達成者では歴代1位の数字だ。2001年に現役引退。現在はプロ野球解説者として活躍中。

    CSは…「レギュラーメンバーが万全の状態でシリーズに臨めるか」

    ――最大11ゲーム差をひっくり返して首位争いをしたライオンズの今季について、どう思われますか?

    涌井の前で投げるセットアッパー役の長田

    涌井の前で投げるセットアッパー役の長田

    大塚 今季のパ・リーグは開幕前から混戦が予想されていましたが、その中でライオンズは涌井秀章や岸孝之ら経験豊富な先発陣がそろい、中島裕之もメジャーリーグに移籍することなくチームに残留したことによって、投打にバランスが良く、また長年の懸念だった抑えも新外国人ゴンザレスの加入で目処が立つなど、前評判は高かったんです。

    しかし、涌井が開幕から3連敗でファーム落ち、守護神として期待されたゴンザレスもリリーフ失敗が目立ち、昨季本塁打王の中村剛也も4月までわずか1本塁打と、開幕ダッシュに失敗してしまいました。

    この時点で渡辺久信監督に焦りがなかったとは言えないけど、一方で監督は、今季は脱落するチームはあっても、昨季のホークスみたいに突き抜けるチームはないと踏んでいて、9月にはチャンスが来ると考え、長いビジョンでシーズンを見ていたみたいです。

    ライオンズが変わったのは、やはり涌井が抑えに転向した5月以降だと思います。涌井が抑えに回ることによって、セットアッパーの長田秀一郎、ウィリアムスが安定感を増し、後ろ3枚がそろった。さらに、中村に当たりが戻ってきて、中島も勝負強さを発揮し、戦力が整ってきました。当初、渡辺監督は、涌井が腕がしっかり振れるようになって球威が戻ってきたら先発に戻す予定だったらしいですが、6月以降に先発の西口文也、石井一久に疲れが見えてくると、今度は菊池雄星や野上亮磨ら若手が台頭し、チームの状況がさらにいい方向に回ってきたから、涌井の抑えを続行することになりました。投手陣に勝ちパターンができ、中島、中村が活躍することによって投打のバランスが良くなったのが、6月以降の快進撃を呼んだと言えるでしょう。

    ――今年のライオンズの特徴は何ですか?

    メンタルの強さがストッパーで活きている涌井

    メンタルの強さがストッパーで活きている涌井

    大塚 やはり涌井のストッパー転向でしょう。彼は打たれたとしても切り替えられるメンタル面の強さを持っていますし、あとは抑えになって腕が振れてきました。ストレートの球威は全盛期に近いです。監督が抑えに転向させたのはいい判断だったと思います。短いイニングを抑えることによってチームからの信頼も回復してきましたし、チームからの信頼を取り戻したということは、開幕当初に先発で失敗した涌井に居場所ができたということですから。

    ――攻撃面ではどうですか?

    チームで唯一フル出場を果たしたヘルマン

    チームで唯一フル出場を果たしたヘルマン

    大塚 中島、中村、栗山巧、片岡易之と4人の中心選手がいる中で、栗山と片岡がケガで離脱しました。中島、中村も万全な状態で1年間はやれませんでした。その中で、シーズン前に中島がメジャーに移籍する想定で、内野のユーティリティープレイヤーとして獲得したヘルマンが、チームで唯一1年間フル出場しました。走って40盗塁以上、打っても勝負強い打撃を見せてくれました。彼の頑張りは大きかったと思います。

    ――ライオンズがCSを勝ち抜くためのポイントはどこですか?

    クリーンアップを打つ中島・中村の主軸に期待がかかる

    クリーンアップを打つ中島・中村の主軸に期待がかかる

    大塚 クリーンアップがしっかりと打てるかにかかっていると思います。ファイターズは投・打・走の全部が70点以上と高い平均点を持っています。さらに9月には、中田翔や糸井嘉男に当たりが出ていました。対してライオンズは、中島、中村のケガもあって調子は今ひとつでした。それがそのまま、順位に表れてしまいました。浅村栄斗、秋山翔吾らの1、2番で勢いをつけられるか、また中島、中村の主軸がしっかりと復活できるかがカギになるでしょう。

    あとは、50試合以上投げている長田、ウィリアムスの疲れも心配です。涌井を加えた後ろ3枚はライオンズ投手陣の生命線ですので、しっかりとコンディションを整えてほしいですね。

    ――ありがとうございます!  それでは最後に一言、お願いします。

    大塚 ここまで来たら、新たなラッキーボーイ的な新戦力は望みません。中島、中村らの主力をはじめ、浅村、秋山ら若手、1年間出場し続けたヘルマンらレギュラーメンバーが、いかに万全の状態で短期決戦に臨めるかだと思います。

    大塚光二さん注目選手動画

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